NISSAN Fairlady 240ZG (HS30) '71の公式解説
1960年代も末になると、日本車は国際舞台に本格的な名乗りを挙げる。その尖兵となったのが、1969年に登場したフェアレディ Zだ。米国日産を率いる片山豊が「今こそ本格スポーツカーを」と本社を説得し、ヨーロッパ車に叩きつけた挑戦状。Zの歴史は、ここに始まったのである。
そんなZのシンボルが432だ。他のZがL型エンジンを搭載していたのに対し、432はその長いボンネットの下に、プリンスR380の血統を引くS20型直6DOHCを息づかせていた。4は1気筒あたり4バルブ、3はツインチョークキャブレター3基、2は2本のカムシャフトを意味する夢の記号で、最高出力160PS、最大トルク18.0kgfmを誇った。
しかし高性能の裏には苦労もあった。S20型は非常に神経質で、このエンジンを本当に唄わせることができたのは、日産追浜ワークスのベテランメカニックだけとさえいわれた。このため日産は、レースマシンの軸足を徐々に240Zへと移していくのである。2.4LのL型エンジンを搭載したアメリカ仕様の240Zは扱いやすく、どこから踏んでもグイグイ加速するタフネスが持ち味。モータースポーツに投入すると、サファリやモンテカルロといった国際ラリーでも大活躍を演じた。
この活躍を受けて、240Zは71年から日本でも販売が始まる。中でもGノーズと呼ばれる長いノーズの240ZGは、迫力あるオーバーフェンダーもあって大人気となり、Zの名を一躍スポーツカーの代名詞へと高めたのである。