NISSAN Fairlady Z Performance’23の公式解説
2020年9月。日産自動車は突如、新たなフェアレディZのプロトタイプを公開した。1969年に発表された初代モデル、S30型を彷彿とさせるその姿に、世界中のスポーツカーファンの胸は高嗚ったが、日産は期待を裏切らず、翌2021年夏に北米、2022年初頭には日本で、市販モデルを発表してみせた。基本骨格を先代と共有するため新しい型式名こそ持たないが、これこそが実質的な7代目フェアレディZだ。
このZには、スポーツカーの伝統と新たな革新がないまぜになっている。エクステリアはS30型のロングノースを踏襲しつつも、抑揚の効いたプレスラインやLEDヘッドランプによってモダナイズ。冷却や空力性能においても、最新の流儀を身に付けた。
エンジンは先代の自然吸気を捨て、スカイライン400Rと同じ強心臓、VR30DDTT型3L・V6ツインターボを搭載。電動化などにはあえて頼らず、405PS/6,500rpmという最高出力と475Nm(48.4kgfm)/1,600rpm-5,600rpmという最大トルクを絞り出す。
トランスミッションは時流に抗うような6速マニュアルと、マニュアルモードも備えた9速ATを用意。重量ましを懸念してATはミッションケースをマグネシウム化するなど、軽量化にも余念がない。さらに前後ダンパーは応答性に優れたモノチューブ式、鋭いスタートダッシュを約束するアドバンストローンチアシストコントロールシステムも備えている。これは日産の後輪駆動車初の装備だ。
自動運転や電動化によってクルマが変革を迫られる中、FRスポーツというロマンは成立するのか。新しいフェアレディZは、その問いに対する日産からの意志表明なのかもしれない。