TOYOTA SPORTS 800 (ヨタハチ) '65の公式解説
トヨタスポーツ800、通称「ヨタハチ」は、軽量コンパクトこそスポーツカーの醍醐味という信条をもって、1965年に登場した。Bピラーを残しルーフパネルだけ脱着できる機構をいち早く採用していたが、後年、それはタルガトップと呼称されるようになった。
スポーツカーとしての作りにもクレバーなセンスが光る。目指したのは凝ったメカニズムより、徹底したシンプルさ。そのためほとんどの部品が、大衆車パブリカから流用された。だからアクセルを踏み込んでも、空冷水平対向2気筒ならではの「ヒュ~パタパタ」というのどかな響きが立ちのぼり、丸みを帯びた可愛らしいエクステリアにユーモラスな雰囲気を加えた。
だからといって侮ってはいけない。簡潔なメカニズムに加え、ボディ各部に積極的にアルミやアクリルを採用した結果、わずか580kgという車重が強力な武器となった。790ccエンジンはツインキャブレターで強化したとはいえほんの45PSにすぎなかったが、俊足を利して最高速度155km/h、当時の1,500ccクラスに匹敵する駿足ぶりを発揮したのだ。
21世紀は環境と資源がキーワードだが、トヨタスポーツ800こそ、古びないデザインとともに時代をはるかに先取りした先駆車だったのだ。